コロナ ワクチン 開発。 コロナ特効薬&ワクチン、米中日欧で進む研究開発の最前線を追う(ニューズウィーク日本版)

日本の”新型コロナ”ワクチン開発はどこまで進んだ?世界の中の立ち位置は…開発者らに聞く(FNNプライムオンライン)

コロナ ワクチン 開発

新型コロナウイルスによるパンデミックの第1波は、どうやら収まりつつあるようだ。 だがワクチン開発者にとっては、これが障害になりかねない。. 写真は英オックスフォード大学ジェンナー研究所のエイドリアン・ヒル所長。 しかし、欧州、米国の科学者らは、有望なワクチン候補について本格的な治験を行うには、疾病が十分に広がっていない可能性がある、と述べている。 ワクチン開発に向けて納得のいく成果を得るために、アフリカやラテンアメリカといったパンデミックの「ホットスポット」、つまり今も感染が広がっている地域に目を向ける必要が出てくるかもしれない。 「皮肉なことに、ウイルス感染のホットスポットを潰していく公衆衛生上の措置が本当に成功しているとすれば、ワクチンの治験が困難になるだろう」と米国立衛生研究所(NIH)のフランシス・コリンズ所長は話す。 <治験には感染拡大状況が必要> 感染者600万人以上、死者37万人近くをもたらしている新型コロナのパンデミックを終わらせるためには、ワクチンの開発が必須の課題となる。 各国首脳は、ワクチン接種こそ、失速した経済を再開するための唯一の現実的な方法であると考えている。 だが、まったく新しい疾病に有効なワクチン候補の臨床試験を大規模かつ迅速に実施するのは容易ではない、と科学者らは言う。 パンデミックの状況は変化している。 その最中に治験を行うこと自体、簡単でないのに、感染拡大の勢いが衰えてしまえば、その作業はさらに困難さを増す。 英ウォーウィック・ビジネス・スクールで既存薬再開発を研究するエイファー・アリ氏は、「治験を成功させるためには、人々が市中感染のリスクに晒されている状況が必要だ。 ウイルスが一時的にせよ排除されてしまっていれば、治験も無駄になる」と話す。 「解決策としては、治験の拠点を市中感染が広がっている地域に移すことだ。 今で言えば、ブラジルやメキシコといった国になるだろう」 <エボラワクチンでも同様の難しさ> ワクチンの治験では、参加者を治療群と対照群に無作為に分け、治療群には治験用の試作ワクチンを投与し、対照群にはプラセボ(偽薬)を投与する。 治験参加者は、疾病が広まっているコミュニティに戻り、その後の感染率を比較する。 期待されるのは、プラセボを投与した対照群における感染率の方が高く、ワクチンが治療群を守っていることが示されるという結果だ。 英国、欧州大陸、米国におけるCOVID-19(新型コロナウイル感染症)の流行がピークを越え、新型コロナウイルスの感染率が低下しつつあるなかで、科学者らにとって重要な仕事は、波のある感染状況を追いかけ、まだCOVID-19が活発な人口集団・国において治験参加希望者を見つけることである。 2014年、西部アフリカにおけるエボラの大規模流行の際に、科学者らが新たなワクチン候補の治験を行おうとしたときにも、似たような問題が発生した。 当時、製薬企業は大規模治験の計画を大幅に縮小せざるをえなかった。 感染者数が減少し始めた流行末期になって、ようやく治験用の試作ワクチンを用意できたからである。 <海外感染地での実施検討も> COVID-19用ワクチンのうち、先頭を切って「フェーズ2」治験、つまり開発の中期段階に入るものの1つが、米国のバイオテクノロジー企業モデルナによるものだ。 もう1つは、アストラゼネカと提携してオックスフォード大学の科学者らが開発中のワクチンである。 コリンズNIH所長によれば、米国の医療当局者は、まず政府機関・医療産業が持つ国内の臨床試験ネットワークを利用し、感染状況マップを使ってウイルスの活動が最も盛んな地域を見極めることになるという。 国内の感染率が低くなりすぎれば、海外に目を向けることが検討されるだろう、と同所長は話している。 米国政府はこれまでにも、HIV、マラリア、結核のワクチン治験をアフリカで行った経験がある。 「アフリカでは現在、COVID-19の感染例が多数発生しつつある。 治験の一部をアフリカで行いたいということになっても不思議はない。 効果的にデータを集められることが分かっているからだ」とコリンズ所長は言う。 アストラゼネカと提携している英オックスフォード大学ジェンナー研究所のエイドリアン・ヒル所長は、先月フェーズ2治験を開始した。 英国内で約1万人の参加者を募りたいとしている。 ヒル所長はロイターに対し、英国ではCOVID-19の感染率が低下しており、結果を得るのに十分な感染が見られない場合には治験を中止せざるをえないだろうと語った。 「そうなれば残念だ。 現時点では大丈夫そうだが、確実にその可能性はある」とヒル所長は言う。 <リスク高い「チャレンジ」治験も> 製薬業界における懸念の高まりを裏付けるように、アストラゼネカのパスカル・ソリオットCEOは、同社の研究者らが、いわゆる「チャレンジ」治験の実施さえ検討中だと語る。 参加者に試作ワクチンを投与した後、効果を確認するために人為的に新型コロナウイルスに感染させる方法だ。 こうした治験はめったに行われず、リスクは高く、倫理面での承認を得るのも難しい。 もっと現実的で手っ取り早い方法もある。 ソリオットCEOなどの人々は、治療薬・ワクチンの治験に適した場所として、COVID-19の感染拡大がまだ続いており、ピークに達していないブラジルをはじめとする南米諸国、アフリカの一部諸国に注目している。 ブラジル保健省は、モデルナやオックスフォード大学などさまざまなワクチン開発者を相手に、治験参加に関する協議を進めている、と話している。 ブラジル保健省は、ブラジル国民が「できるだけ早い時期に」ワクチンを利用できるようにするのが目標だと言う。 パンデミックが衰えつつある諸国でワクチンのフェーズ2治験に向けた参加者を集めることの難しさには、すでに前例がある。 ジェネリック薬剤ヒドロキシクロロキンやギリアドの「レムデシビル」など、COVID-19に関する有望な治療法に関して世界保健機構(WHO)が試みた多国間での「ソリダリティ(連帯)」治験のケースだ。 0 : 0• narrow-browser-and-phone• medium-browser-and-portrait-tablet• landscape-tablet• medium-wide-browser• wide-browser-and-larger• medium-browser-and-landscape-tablet• medium-wide-browser-and-larger• above-phone• portrait-tablet-and-above• above-portrait-tablet• landscape-tablet-and-above• landscape-tablet-and-medium-wide-browser• portrait-tablet-and-below• landscape-tablet-and-below.

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新型肺炎の治療薬・ワクチン開発で日本企業の影が薄い理由

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マサチューセッツ州ケンブリッジ市にある小さなバイオテク企業社は、競合する巨大製薬会社に先立ち、NIAIDとの共同研究でワクチン開発を進めています。 によると、1月10日に上海の復旦大学の科学者が新型コロナウイルスのゲノム配列を公表してから3日後、NIAIDの免疫学者バーニー・グラハム博士は、ワクチンの鍵となる最適化した遺伝子のデザインをモデルナ社に送りました。 コロナウイルスは球形で、表面から突き出たスパイクがあり、外観は王冠に似ています。 そのスパイクは人間の細胞に結合し、ウイルスが侵入できるようになります。 米国立衛生研究所(NIH)によると、研究者らは、重症急性呼吸器症候群(SARS)と中東呼吸器症候群(MERS)を引き起こすコロナウイルスの研究で、スパイクを標的としたワクチンの研究にすでに取り組んでいました。 そのため新型コロナウイルスのワクチン候補mRNA-1273を迅速に開発することができました。 そしてモデルナ社は、わずか42日間でワクチン候補mRNA-1273を出荷しました。 ちなみに2002~2003年のSARSが流行したとき、ゲノム配列の公表からワクチン候補の試験するまでに、約20か月かかりました。 遺伝学の進歩により、モデルナ社は脅威的なスピードでワクチンの開発を進めています。 病気のもとになるウイルスや細菌などを「病原体」といいます。 ワクチンは伝統的に、病気を起こさないように、病原体を弱めたりなくしたりしたものを原材料としたり(生ワクチン)、病原体が作りだす毒素を処理し、病原性や毒力をなくして(不活化ワクチン)作られました。 今日使われている多くのワクチンは、このようにして作られます。 その後、遺伝学の初期の進歩により、ワクチンはウイルスによって作られるタンパク質だけを使用することができるようになりました。 1980年代、この技術によって、最初の組換えタンパク質ワクチンであるB型肝炎ワクチンが開発されました。 モデルナ社のワクチンはさらに進歩し、「病原体」のウイルスやそのタンパク質を使う代わりに、ウイルスのタンパク質を作るメッセンジャーRNA(mRNA)(DNA上の遺伝情報は、先ずmRNAへコピーされ、mRNAの情報をもとにタンパク質が作られます)に焦点を当てています。 mRNAワクチンを投与すると、体の免疫細胞は、ウイルスのタンパク質を認識し、それに対する抗体を作り、感染と戦うことができます。 第1相臨床試験は、シアトルのカイザーパーマネンテ健康研究所で行われています。 3月16日、ついに最初の参加者が、mRNA-1273の投与を受けました。 今後、18~55歳までの45人の健康なボランティアを登録し、3つのグループに分けます。 各グループは、異なる用量強度のワクチンを、約28日間おきに2回投与し、ワクチンの安全性や免疫の反応を評価します。 研究は参加者を1年間追跡しますが、ファウチ長官によると、試験開始後約3か月で初期の安全性結果が得られるはずです。 そのあと有効性を試験するために、ワクチンを何百から何千人に試しますが、これには6~8ヶ月かかります。 これまで、臨床試験の最終段階である第3相臨床試験にまでたどり着いたmRNAワクチンはありません。 mRNA-1273が承認された場合、ヒトで認可された最初のmRNAワクチンのデビューとなります。 mRNAワクチンは伝統的なアプローチよりも少量で強力な免疫反応を起こすため、安くて早く製造できることが期待されています。 つまり、このワクチンの開発が成功すれば、直ちに世界中の人がワクチンの恩恵を受けられる可能性があります。

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【図解】新型コロナ、加速するワクチン開発競争 写真5枚 国際ニュース:AFPBB News

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米国、中国などを中心に、世界では新型コロナウイルスに対するワクチンの開発競争が進行中(表3)。 特徴的なのは、蛋白質・ペプチドをベースにしたもの、ウイルスやプラスミドといったベクター(運び屋)を使ったもの、核酸(mRNA)をベースにしたものなど、多様なモダリティ(治療手段)のワクチンが開発されていることだ。 2020年3月9日現在、開発中のワクチンはいずれも前臨床の段階にあるが、開発が先行しているワクチンについては、2020年3月中にも臨床試験がスタートする見通しだ。 Moderna社のワクチンは臨床試験入り目前 ワクチンとは、感染症の予防や重症化防止を目的に、不活化させたり、弱毒化させた「病原体そのもの」や「病原体の一部」を抗原として投与し、投与した病原体への免疫を誘導し、記憶させておく薬剤のこと。 新型コロナウイルスに対しては、一部の大学・研究機関や企業が、増殖後に不活化させたり、弱毒化させた「ウイルスそのもの」をワクチンとして開発している。 ただ、「一般的にコロナウイルスは増えにくいことで知られている。 そのため、製造の安定性や、さらには副反応のリスクまで考慮するとウイルスそのものをワクチンにするのは、ハードルが高い」(業界関係者)。 実際、ワクチン開発に乗り出している大部分の大学・研究機関、企業は、「ウイルスの一部」を抗原とし、免疫を誘導するワクチンを開発しようとしている。 具体的には、ウイルス表面に発現し、ヒトへの感染の際に足掛かりとなるスパイク(S)蛋白質を中心に、ウイルスのの一部を抗原として免疫を誘導するワクチンを開発中。 その際、病原体の一部に対して免疫を誘導するには、幾つかのアプローチが考えられる。 1つ目は、遺伝子組換え技術を用いて、植物や昆虫細胞、動物細胞に抗原とする蛋白質やその一部のペプチドを作らせ、単離・精製して投与する「蛋白質・ペプチドベースのワクチン」だ。 新型コロナウイルスに対しては、フランスSanofi社が、2017年に買収した米Protein Sciences社の技術を活用し、昆虫細胞で製造した組換え蛋白質ワクチンを開発しようとしている他、Janssen Pharmaceuticals社も組換え蛋白質ワクチンの開発を実施中。 詳細は不明だが、国内でも国立感染症研究所(感染研)が、日本医療研究開発機構(AMED)から研究費を得て、組換え蛋白質ワクチンの開発を進めている。 2つ目は、細菌などに存在する環状DNAのプラスミドやヒトに害を及ぼさないウイルスに、抗原とする蛋白質をコードする遺伝子を搭載して投与し、体内でその蛋白質を発現させる、「ウイルスやプラスミドをベースにしたワクチン」だ。 ここにも複数の大学・研究機関や企業が開発に参入しているが、麻疹ウイルスやアデノウイルスなど、ベクターのウイルスは様々だ。 3つ目は、抗原とする蛋白質を産生させるためのmRNA(核酸の配列)を投与する「mRNAをベースにしたワクチン」だ。 同ワクチンを接種すると、細胞内でmRNAから抗原とする蛋白質が発現し、免疫を誘導する。 mRNAをベースにしたワクチンの開発には、既に複数の大学・研究機関や企業が乗り出しているが、今のところ、世界最速で臨床試験がスタートしそうなのが、この手のワクチンだ。 米Moderna社は、2020年2月24日、同社が開発中のmRNAをベースにしたワクチン(開発番号:mRNA-1273)の治験薬の最初のロットを、協力先の米国立衛生研究所(NIH)傘下の米国立アレルギー・感染症研究所(NIAID)に出荷したと明らかにした。 mRNA-1273は、スパイク蛋白質の遺伝子をコードしたmRNAで、体内でスパイク蛋白質が発現し、免疫が誘導されると期待されており、2020年3月中に米国でNIAIDが主導する第1相の臨床試験が始まる見通しだ。 中国の研究チームが1月中旬、新型コロナウイルスのゲノム情報を解読・公表してから、ワクチンを設計し、Moderna社が治験薬を製造するまでかかった期間はわずか40日程度。 1つ目の蛋白質・ペプチドベースのワクチンや、2つ目のウイルスやプラスミドをベースにしたワクチンは、製造用の組換え植物や組換え細胞・細菌を樹立したり、組換えウイルスやプラスミドを調整するのに時間がかかる上、精製工程を含めた製造工程の確立にも一定の時間を要する。 それに対して、mRNAをベースにしたワクチンは、公表されたゲノム情報をベースに設計でき、化学合成することが可能。 Moderna社が自社の製造施設を持っており、過去に複数の開発品の治験薬を製造した経験があったことも、短期間での開発・製造に寄与した。 mRNAをベースにしたワクチンには、他にも、米Pfizer社が、バイオ企業の米BioNTech社と開発を始めると一部で報じられている他、国内では東京大学医科学研究所が大手製薬企業と開発している。 ワクチン開発には抗体依存性感染増強の懸念も ただ、新型コロナウイルスのワクチンの開発がとんとん拍子で進み、大規模臨床試験で安全性、有用性が確認されて、すぐに世界で誰もが使えるようになるかどうかは分からない。 というのも、ワクチンは宿主の免疫を誘導するものなので、一般的に、動物実験の結果からヒトでの臨床試験の結果を類推しにくく、また、スパイク蛋白質のように、病原体の1つの蛋白質を抗原としたワクチンでは、その蛋白質に変異が生じると効きにくくなるリスクがある、といった難しさがあるためだ。 さらに、複数の業界関係者は、新型コロナウイルスのワクチン接種後に、「実際のウイルスに自然感染すると、通常よりもウイルスを取り込みやすくなる『抗体依存性感染増強(Antibody Dependent Enhancement:ADE)』という現象が起きるリスクがある」と指摘している。 メカニズムが完全に解明されているわけではないものの、ADEは、ワクチン接種などで中途半端な免疫応答が誘導された場合に起きると考えられている現象だ。 ワクチン接種後にウイルスに自然感染した際に、ワクチン接種で誘導された抗ウイルス抗体の一部が悪さをして、ウイルスを積極的に宿主の細胞に取り込むようになり、感染を促進させてしまうと推定されている。 さらに、過去にSARSなどに対するワクチンの一部の開発品の動物実験において、ワクチン接種後のウイルスへの曝露によってADEが起きる可能性が示唆されており、WHOも、新型コロナウイルスに関する研究開発のロードマップを示した資料で、「大規模な臨床試験を実施する前に、ヒトで感染増強が起きる可能性を評価することが極めて重要だ」と指摘している。 もっとも、どういうワクチンであればADEが起き、どういうワクチンであれば起きないのかは、今のところ分かっていない。 また、現時点では、ADEが起きるかどうかを予測できるモデル動物があるわけでもない。 「今後、新型コロナウイルスのワクチンの非臨床試験や臨床試験でADEが起きると、ワクチンの安全性に大きな懸念が生じることになるだろう」と業界関係者は指摘。 新型コロナウイルスのワクチン開発にとって、ADEが不安材料として浮上している。

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